資本主義を理解するために

資本主義を考えるために情報収集を始めました。
随時、触れた情報を要約していきます。


最初に株式会社COTEN 代表、深井龍之介さんが音声配信しているメディア(a scope -リベラルアーツで世界を視る目が変わる-)からの要約です。

深井さんは、資本主義の条件として私有財産、利潤動機、市場経済をあげます。

資本主義の条件

  • 私有財産:個人が法的に持っていることが法的に認められている
  • 利潤動機:
  • 市場経済:自由な商業活動を行うことができる

資本主義の6つの特徴

そして資本主義には6つの特徴があり、それぞれの特徴で課題が生まれていることを示唆します。

1.市場経済を前提にして成り立っている

相場で価格設定され、それ基づいて価格が決まっている
身分が分かれていない(身分社会ではないので、人を雇うことができる)
以前はなかった。労働を得ることができなかったから
自由競争
発明が生まれる

2.市場にとって良しとされる行動にしかインセンティブ(動機づけ)がつかない

間接的に市場から評価される(株価が上がる)行動しか、評価されない
利益率が高い方が評価される
株価が上がること
市場インセンティブに基づいて、全てが評価される

3.持続的成長を前提とし、持続的成長は生産人口に比例してしまっている

資本主義以外に、持続的成長を前提とした社会はない
国家はGDPを増やそうとする
その手段として生産人口を増加させようとする

4.期待値を定量化できる。だが、お金によってしか定量化できていない

 株価という定量性のみを測っている
 社会、人、幸せを定量化できていない

5.資本が資本を産む。甚だしく

 資本そのものが資本を産む
 資産運用で儲かる
 r>g

6.資本主義はOS。変更可能なアプリではない

 資本主義は移管可能な社会システムではない
  それは西洋の特殊文化であり、世界中に敷衍できない、360度評価ができるシステムではない
  アングロサクソン文化でのみ適用できる文化
 各国においても、資本主義はハイブリッドで独自に展開している
 資本主義において決裁は、合意形成コストが最も低いところに流れていく
  コントロール度合いは前提条件に制約されるため、最も合意形成コストが低いところしかできない
 民主主義においてもそれは同様
 

資本主義は日本にも根付いていない

 資本主義が本当に駆動しているのは、アメリカ・イギリスのみ 
 資本主義はハイブリットで独自文化として駆動している
 今後、資本主義をどう扱うかを考えたとき、移管可能なシステムとして考えるとうまくいかなくなる

6つの特徴において制度疲労による課題が起こっている

[課題]1.市場経済を前提にして成り立っている

 インターネットの登場によって、市場経済から外れた振る舞いが生まれている
 ソーシャルベンチャー、ソーシャルインパクト投資
 包摂する課題 
 商品ではないものまで生まれている
  シェアリングエコノミー、プロセスエコノミー、クラウドファンディング
 儲かる以外のお金の集め方が増えてきている

[課題]2.市場にとって良しとされる行動にしかインセンティブ(動機づけ)がない

 お金でしかカウントしない
 それ以外のインセンティブ(動機づけ)がない
 マネーゲームが成り立つ
 幸せになれないことを、私たちの多くが気づき始めている
 環境問題を解決できないし、助長している
 金融資本主義。最も利回りが良いが設計が壊れた
 

[課題]3.持続的成長を前提とし、持続的成長は生産人口に比例してしまっている

 先進国であればあるほど少子高齢化が進んでいる
 個人レベルの人生設計と国家レベルでの生産設計が乖離している

[課題]4.期待値を定量化できる。だが、お金によってしか定量化できていない

 リーマンショック以降、課題が顕在化
 お金を増やすことのみに特化
 社会にとって明らかに良くないことが持続し、環境を破壊し続けている
 環境保護行為にインセンティヴが払えない
 優秀な人材をここに呼ぶことができない
 儲かるものにしか出資できない。正当化できない
 予測出来る、コントロール可能だと勘違いしている

[課題]5.資本が資本を産む。甚だしく

 資本を持っている人がどんどん強くなる
 お金持ちはお金持ちに。格差問題。利子
 お金持ちが持ちすぎ(トマ・ピケティ)
 富の再分配ができていない

[課題]6.資本主義はOS。変更可能なアプリではない

 自然発生的に生まれたシステムしか駆動しない 
 そもそもシステムは付与できない
 実験的に新しい試みを連続的に行い、共有するしかない
 人間が考えたシステムは駆動しない
 課題は、その認識が私たちにないこと
 私たちが幸せになれていない

資本主義を実現した近代とは何だったのか?

私たちは近代から抜け出していない
そもそも近代的考えとはなんだったのか?
1970年代のフランスでも論争になった

なぜヨーロッパ人は自分たちのシステムが文化として分けることが出来ると考えたのか?

2つの視点
1.社会思想史の中での資本主義
2.経済学が学問として資本主義をどのように取り扱ったのか?

アンソニー・ギネンズによる近代の特徴


時計の発明
時間と空間の分割により時間が外在化する -神話的時間の終わり-

イギリスで時計が発明された
 時計により、時間を自分の外に持つことになった
  それまでは
   農業的な時間に生きていた
   同じ時間を生きてる感覚なかった
   神話的時間を生きていた

ロマンス語の文法と人格の意味の発見
再帰性が合理的知見を保証し、合理的な環境破壊活動の素地を作る

ロマンス語の文法に存在する再帰動詞
 自分自身に再帰性(リフレクシビティ)がある
  合理的知見によって自分たちの行動を変えていくようになった

再帰性を持って合理的に環境破壊が行われる
 知識の集積で外部はコントロール可能と考える

また、自分自身に再帰性があるので、人格の意味(自分で自分に意味を付与する)が必要となる
 人格の意味の発見


社会制度:国民国家の誕生
監視

1.監視
 国民の情報を誰かがデータベースで管理していること
  管理者社会

社会制度:国民国家の誕生
圧倒的軍事力

2.圧倒的軍事力を国が管理している
 工業化され、産業として兵器を効率的に生産出来るようになった
  それは、資本主義があったから



近代の4つの特徴

  • 監視社会
  • 軍事力を持った社会
  • 工業化された社会
  • 資本主義を持つ社会

私たちはグローバルな軍事的秩序の中で生きるしかない
 それは、リスクをもたらしている

資本主義が世界中へ普及する


18-19世紀
資本主義が世界中へ普及する

西ヨーロッパによって生まれた制度が世界中に普及され押しつぶされていった
18-19世紀:産業革命のちょっとあと、帝国主義の時代に各帝国が成立していた

イギリス:大英帝国時代(ビクトリア朝期)に生まれた
日本:明治維新の後
フランス:共和制後のナポレオン3世
ロシア:アレクサンドル2世
ドイツ:
オスマン:
中国:


イギリス
ビクトリア朝期に経済成長が起き、中産階級が増えた

中産階級とは
・商業を中心として
・自由主義的なリベラリズムを持った社会
を生み出し、主役になっていった

イギリス
砂糖でハイカロリーで無限に働けるようになった

産業革命にて、身分はないがお金がある人が多く現れた時代

砂糖貿易
 難破する確率
  未来を予測する感覚が生まれる


アメリカ
アメリカ大陸からの富の収奪により資本主義が現れた

新世界:アメリカ、キューバ
砂糖のプランテーション・アフリカ奴隷
 向上的な合理的な時間管理のある農業形態
  奴隷コントロール技術が発達
  工場管理技術への転用

西欧文明
進歩主義

他の社会は発展していない、という考えになる
発展途上国と先進国という概念が生まれる

西欧文明の中産階級の人々
民主主義を拡大する:選挙権

選挙権の拡大
 社会で声をもつ

時間意識の改革:時間が外在化し比較が始まる

鉄道により、人類はありえなかったスピードを手にいれる
 時間が大事な概念になる
  時間が外在化
   一つの時間の中に複数の国があることに気が付く
    比較が始まる
     比較宗教学など、多様化の時代になる

ビクトリア朝期
時間感覚が進歩主義を発達させる

時間が進むとどんどん豊かになるのではないか?
 時間が進むと社会は右肩あがりなのでは?

ビクトリア朝期、人々は偶然揃った下記3つの条件を普遍のように捉える
1.時間の概念
2.資本主義
3.民主主義
 それは、現代人にもつながる


伝統社会
社会は悪化するという概念

社会はどんどん悪くなっていくものという概念を持っていた

ニュートン
万有引力の発見による科学と発明の発展

万有引力を発見した
全ては同じ法則で説明できる
 それまでは、地上と天上で違う法則が動いていると捉えていた
  西洋知識社会に、大きな影響を与えた
   この世界は全てを説明できる隠された法則があるのではないか

科学が発展する
・細菌学
・有機化学
・電磁気学
・天文物理学

多くの発明がう生まれる
・蒸気機関車
・ガス灯
・クロロフォルム
・工作機械
・電信


社会科学者:ベンサム
ベンサム主義:最大多数の最大幸福

何かに隠された普遍の法則は人類にもあるのではないか?と考えた

社会科学者ベンサムによるベンサム主義
 功利主義:最大多数の最大幸福
  人間は利己的
  利己的なまま振る舞うと、みんなの幸福を破壊する可能性がある
   そこだけ規制する
    すると、だいたい多くの人がだいたい幸せになるのではないか
     この考えが、民主主義を強化した


経済学者:アダム・スミス
神の見えざる手が自由市場を論理的に担保する

一方で、経済学と合流していく
一定の普遍の法則があるのでは?

アダム・スミスの神の見えざる手
 私利私欲を持った人間が、自由に振る舞うと、市場で需要と供給で一致するポイントが出てくる
  合意するポイントが出てくる
   なるべく規制しない方が良い
   自由市場が生まれる
    人間の欲望に基づいて自立していく


キリスト教
福音主義は自由市場への参加と利潤獲得を道徳的に担保する

キリスト教の概念とも結びつく

ビクトリア期に生まれた福音主義
 人間はどのように生きていくのが神にとって良いのか?
  労働すれば良いのではないか?
   たくさん労働してたくさん利潤を得れば、本質的に道徳的になれるのではないか、という考え

人間は道徳的に正しくてもそれを行う
・お金を稼ぐこと
・市場に参加すること


ダーウィン
種の起源が自由競争という概念を担保する

進化は人間にも適応できるのではないか?
 ダーウィンは最後まで懐疑的だった
  自由競争によって勝ち残るのは、種にとって正しいのではないか?という論理が生まれる

ビクトリア朝
資本主義を捉える思想的土台が結びつく

ベンサムの最大多数の最大幸福に基づき
・自由競争
・人間の幸福
・自己研鑽
・進歩
・成長

これらの概念が強固に結びつく
そして、資本主義を捉える思想的土台が作られた
 ここは今も変わっていない
 これが、現代も所有している物語


経済学者:カール・ポランニー
市場という概念に疑問を投げかける

これを指摘し始めたのは、第二次世界大戦

カール・ポランニー
「市場という概念」に疑問を投げかける
 自明のものとしてあると考えているが、果たして市場はそうか? 
  自由市場はあるとき現れた
   自由市場を生み出すための社会的基盤があったから
    健康な生活
    家に住んでいる

しかし自由市場経済は、自由市場そのものを成り立たせる社会基盤を破壊する作用がある


社会と経済の逆転:脱埋め込み

これまでは、社会に埋め込まれた経済だったが、経済に埋め込まれた社会に変化した
 つまり、経済的制度や市場経済によって、社会的な制度や関係が決められる社会が現れた

資本主義が浸透する以前は、基本的に社会に経済が埋め込まれていた(社会が自分を規定する)
 家柄、長男
資本主義が浸透した近代は、その外側にいる


自由市場は悪魔の挽臼 -dark satanic mills-

自由市場はなんでも商品にする
 挽臼を通してなんでも粉々にする
  基盤となる生活そのものを破壊する

労働時間は自由市場でいくらでも売れる
 自由市場は本質的に24時間働いてくれればいい、と考えている
  値段がつくから、売ろうとする、寝ないで働くことになる、死ぬ
   自由市場を制限する働き=ワークライフバランス

何もかもを自由市場で売った結果、私たちは社会的基盤を粉々にしたのではないか?


核家族社会は労働するため

市場経済は人がモノを買うことを望む
 そして、核家族化が進む
  一人暮らしの増加
  二人暮らしの増加
  3世代同居の減少
   購買活動の活発化
   子育ては大変になった

自由市場は伝統社会を破壊する

市場経済を規制したい
 ファシズムが生まれる



引用
a scope -リベラルアーツで世界を視る目が変わる-
COTEN