絵を描くこと:40年間の情熱のマネジメントと中学2年生の兄

こんにちは。

ひとは自分の不得意なことではなく得意なことで困難を迎える

そんな言葉をどこかで聞きました。

 

ぼくは絵を描くことが得意とは思わないのですが、「好き」と言うことはできます。
それは、ぼくが意図的に「情熱のマネジメント」をしてきたからだと思っています。

今回は、描くことに関する実践について書きます。

 

    目次

  1. 中学2年生の兄が筆の先をハサミで切りはじめる
  2. 絵を描けなくなった10代
  3. 絵を描くことに対する6つの態度
  4. 30代の終わりのペンタブレット

 

1.中学2年生の兄が水彩画用の筆の先をハサミで切りはじめる

「えっ、お兄ちゃん、何してんの?」

「ああこれ?ここを切ったら、思ったように色を付けられるから」

 

中学2年生の兄は、水彩画用の筆の先をハサミで切りました。

短くなった筆は絵具を含み、画用紙の上にカラフルな点描を生みました。神社のそばの草むらの影に美しく馴染んでいきました。まるでそこから猫が現れそうな草むら。最初からそこにあったような深い影。

ぼくは言葉を失いました。
そして、絵を描く気力がしぼんでいくのを感じました。

 

小学5年生のぼくは、兄の発想と技術とセンスに圧倒されました。

 

世界中にはこんな人たちがたくさんいるのか。

 

兄の延長線上に世界中の画家たちを想像し、ぼくは自分の画力を比較してしまいました。

 

2.絵を描けなくなった10代

それから10年くらい、絵を描けませんでした。描きたかったのに。

いろいろなことが起こり、そのたびに失敗しました。ぼくはひとつひとつ後退しました。
※詳しくはこちら…
ジェットコースターのような人生を傍観する先生の話

 

3.絵を描くことに対する6つの態度

19才。大学に通い始め、ぼくは再び絵を描き始めました。
100%自分のため。
もっと言うと、自分が回復するため。

 

記憶的な障害や言語的な困難が、日常生活のなかで無視できないほど大きくなり、ごまかすことができなくなっていたからです。

 

ぼくは7か国語を独学で学習しながら、絵を描き始めました。

大学に行かない日は、10時間以上外国語の勉強をしていました。外国語学習に疲れると、絵を描きました。
自分が好きな写真を見ながら、自分の好きなように。

4人の若者(19才に描いた絵)

4人の若者(19才に描いた絵)

 

19才の絵(キッチンで一人料理する男)

19才の絵(キッチンで一人料理する男)

この反復はずっと続けられるな、と思いました。

 

その時のぼくは、2カ月以上誰とも話さないような生活を送っていたのですが、絵を描いている時だけは自分自身に帰属している感覚がありました。

貴重な感覚でした。依って立つべき感覚が自分の中に感じられること。

 

そうは言っても、ぼくは絵を量産するような描き方はできませんでした。また、描くスキルを体系的に覚える気もありませんでした。

 

生まれて20年が経ち、ぼくが「絵を描くこと」に対して維持してきた態度。
それは

 

  1. 商業化と結びつけない
  2. 描きたいときにだけ描く
  3. 「描きたいという衝動」を最大化するために、それ以外の要素を削除する
  4. 「他者との比較」や「無意味な自己卑下」からもっとも遠いところで「描く行為と時間」を累積する
  5. 1~4の方法をもとに「絵を描くこと」を継続する。人生の定規として
  6. 対外的な結果を求めない

 

ということでした。

 

 

自分にとっての一義的な価値と意味を保持しながら、継続すること。

 

そのルールの中で「20代の絵描き」を過ごしました。

 

4.30代の終わりのペンタブレット

そのようにして30代がやってきました。
あらゆる角度から様々な出来事が起こりました。驚く間もなく、嵐が追跡し続けました。

その中でもぼくは「人生の定規として絵を描くこと」を継続してきました。

38才のペン画(目を閉じる女)

38才のペン画(目を閉じる女)

今年(2019年)の5月、ゴールデンウィークにペンタブレットを買いました。

家に帰り、妻も子もいないリビングルーム。ぼくはひとりノートパソコンに線を引きました。

 

曲線。削除。曲線。削除…
透過。
ペンの太さ。
曲線。削除。曲線。削除…
曲線。削除。曲線。削除…
#411c11。
塗り。
PNG保存。

 

ほぼ40年近くペンや鉛筆で絵を描いてきました。

 

そして最近ペンタブレットで絵を描きはじめました。

 

それがとても楽しい。

 

水彩画用の筆の先をハサミで切りはじめる中学2年生の兄は、もうどこかに行ったようです。

38才の絵(目を閉じる女)

38才の絵(目を閉じる女)