異国の詩人の肖像画
学生時代、7ヶ国語を学びながら、疲れると絵を描いていました。
無印良品で買った100円の自由帳に、大学の図書館で借りた本に掲載された写真を見ながら。
鉛筆で無造作に描き始め、水彩絵の具を染み込ませて。
女性歌手の横顔
絵は全て独学です。
立派な場所で、立派な方から「絵の描き方」を学んだら、
ぼくがずっと大切にしてきたものがどんどんなくなっていくことをはっきりと予感していたから。
それだったら、技巧的に下手でもいい。
自分の内側と一致するための行為であることを大切にしたい。
スーツを着た太った男性
10年ぶりに絵を描き始めたら、色を使うことがとても難しくなっていました。
不思議なような、当然のような気がしました。
久しぶりに帰る実家に行ったら、
記憶と違う場所になっていたような。
それから「色を理解すること」は
ぼくの大きなテーマになりました。
急いで解決する必要はありません。
解決しなくてもいいのかもしれない。
それはぼく自身だから。
黙って見つめる女性
これらの絵は19才の時に、尼崎の木造アパートの一室で描かれ、
それから約20年間、ぼく以外の誰の目にも触れずに、ずっと保管してきたものです。
それは見せる必要性を感じなかったから。
アフリカの若い女性
今は、自分に近づく行為の一貫として、
世界への開示を行なっています。
絵を描くことを「世界と自分の距離を図るための定規」として継続してきたからこそ感じること。
絵の変化は、自分自身の変化を色濃く写すこと。
描かれた絵の中には、当時のほとんど全てが残っているように、ぼくには感じられます。