原文
奥山に
紅葉踏み分け
鳴く鹿の
声聞く時ぞ
秋は悲しき
古語の意味
【奥山】
人里離れた奥深い山
【鳴く鹿の】
秋には、雄の鹿が雌を求めて鳴くとされており、そこに、遠く離れ た妻や恋人を恋い慕う感情を重ねる
【声聞くときぞ秋は悲しき】
ぞ:強意の係助詞。文末を形容詞「悲し」の連体形「悲し き」で結ぶ
は:係助詞で、他と区別してとりたててという意味。他の季節はともかく、 秋はという意味
現代日本語翻訳:案
a.
奥深い山の中。
雄鹿が紅葉を踏む。
そして雌鹿を求めて鳴く。
その瞬間。
秋は悲しい。
b.
奥深い山の中。
雄鹿が紅葉を踏む。
そして雌鹿を求めて鳴く。
その瞬間、秋は悲しさに包まれる。
現代日本語翻訳:推敲
奥深い山の中で雄鹿が紅葉を踏む。
そして雄鹿は雌鹿を求めて鳴く。
その瞬間、悲しさが秋を覆う。
英語翻訳
A buck treads the autumn leaves in the deep mountains.
And a buck cries out for a doe.
At that moment, sadness covers the autumn.
フランス語翻訳
Un mâle foule les feuilles d’automne dans les montagnes profondes.
Et un mâle crie pour une biche.
À ce moment, la tristesse recouvre l’automne.
スペイン語翻訳
En una profunda montaña.
Un ciervo camina y se mueve sobre las hojas de otoño.
Llora por la coneja.
En ese momento, el otoño está envuelto en tristeza.