たまにふと、目的のないフレーズが頭に浮かびます。そんなときは、すぐにメモして時間があるときにさっと翻訳します。
ポイントは
日本語と英語の「2つの違うしくみ」を両手に持って、何度もいったりきたりすることです。
日本語の特徴
・主語が文の最後にくる(ないときもよくある)
・動詞が文の最後にくる
・文全体の否定肯定は最後にわかる
・時間と空間が最初にくる
とにかく、大切なことは最後にわかります。
英語の特徴
・主語が文の最初にくる(ないのは命令形)
・動詞が文の2番目にくる
・文全体の肯定否定は主語のあとにすぐわかる
・時間と空間の場所は、あらかじめ単語のかたち(前置詞や接頭辞、接尾辞)でわかる
大切なことは最初にわかります。
つまり、日本語を英語にするときは、文の中心となる目的語・動詞・主語・否定肯定が最後にくることを前提に、最初に現れる文の中心ではない部分を分けておきます。
終わりに近づくと、文の中心「目的語・動詞・主語・否定肯定」が明らかになります。
日本語の最後にくる文の中心を、英語の最初にくる文の中心に移動させるのです。
かたちの違う言語を複数使う人々は、翻訳という作業の中で
①要素の分類
②要素の再配置
③単語の選定
を行っています。
日本語のかたちと英語のかたち
日本語のかたち
イメージは一直線です。
Adverb of time → Adverb of place → Adjective → Object → Verb → (Subject) → Positive/Negative
特徴は、中心要素(目的語・主語・動詞・否定肯定)になればなるほど文章の最後に置かれること。ない場合もあります。
どうなるかというと、聞き手のイメージはグルグル外側から中心に回っていく。最後に否定肯定が判明し、イメージは下降したり上昇したりします。
日本語の立体構造は、文章の最後の否定肯定によって生まれます。
英語のかたち
英語はテリトリーの言葉です。テリトリーは動詞で表されます。
どういうことかというと、自分のテリトリーに対して行動主体がどういうアクションをするのか?が中心になります。
つまり、文のかたちがすでにテリトリーという対立関係を前提としている。発話するまえからもう、世界は対立関係で理解されているのです。
3×3×3のテリトリー
基本はこの9つのイメージで動詞は分けられます。
・自分のテリトリーから離れていく:go
・自分のテリトリーに近づいてくる:come
・自分のテリトリーに滞在する:have
そこから、haveが3つに分かれます。
・自分のテリトリーから出す:give
・自分のテリトリーに入れる:get
・自分のテリトリーに滞在する:have
そしてさらに、haveが3つに分かれます。
・誕生:be
・生きる:be/have以外
・所有/死:have
英語の立体構造はSVOが単位の対立関係から生まれます。
親のSVO文から子のSVO文、孫のSVO文と従属関係を作っていき、ふくらんでいきます。
SVO単位
①Subject → Verb → Object
↓
②-1.Adverb
→ time
→ place
→ verb
②-2.Adjective
→ object
日本語とつくりがちがうため、翻訳するときは2つのかたちを準備しておきます。翻訳する文章の要素を分け、英語のかたちの中に入れていきます。
英単語の調査/検索をするまえに、2つの言葉のかたちへの理解があれば、各工程でやることと、課題と対策をわけることができます。そしてそれは、とても楽しい。
ここからは実例です。
日本語の文章を書く
ぼくが書いた文章の一部を使います。
愛がわからないときも、
愛を感じるようになったときも、
ぼくはずっと描いてきました。
まずは動詞→主語→目的語
①まずは動詞を探して、中心に置きます。
※動詞の時制は、各要素を集めたあとに対応します。
②次に主語を探して、いったん置いておきます。
③そして、動詞が影響をあたえる対象(目的語)があれば、それを探します。
①動詞 Verb:描いてきた
②主語 Subject:私
③目的語 Object : 絵
副詞と形容詞でVSOへの肉付け
ここまできたら、あとはVSOに肉付けしていきます。かんたんに2つに分けます。
①副詞(adverb):時間・空間・動詞=ad-verb(動詞verb に 加えるad-)
②形容詞(adjective):名詞=ad-jective(目的語object に 加えるad-)
状態の副詞 Adverb of state
ずっと:all the time
時間の副詞 Adverb of time
Aののときも、Bのときも:even when ~, when ~
evenについてCambridge dictionaryで調べる
Cambridge dictionaryで調べます。
そのほうが単語のイメージの範囲に直接触れることができます。
used to show that something is surprising, unusual, unexpected, or extreme
何かが驚くべき、普通ではない、予期していない、あるいは極端であることを示すときに使われる
Cambridge Dictionary
要素の整理
日本語で整理しておきます。
動詞 Verb:描いてきた
主語 Subject:私
目的語 Object: 絵
状態の副詞 Adverb of state:ずっと
時間の副詞 Adverb of time:Aのときも、Bのときも
動詞を過去・現在・未来にわける
動詞の時制をここで確認していきます。
過去-現在-未来のどこにあるかを見ていきます。
愛がわからないときも、(過去の習慣)
when I did not know love,愛を感じるようになったときも、(過去の習慣)
when it came to feeling love,ぼくはずっと描いてきました。(現在にいたる完了)
I have drawn all the time.
そして外国語へ
ここまできたら、もうすぐ。
2つのことばのかたちの違いに数多く触れたいときは、ぼくもよく使う下の方法もおすすめです。
複数言語を翻訳する方法(Twitter+Google翻訳+Google keep)
英語
Even when I did not know love,
even when it came to feeling love,
I have drawn all the time.
V(動詞) : have drawn
S(主語) : I
O(目的語) : no need
Adverb of state(状態の副詞 ):all the time
Adverb of time(時間の副詞):Even when I did not know love, even when it came to feeling love,
スペイン語
Incluso cuando no sabía amor,
Incluso cuando se trataba de sentir amor,
Lo dibujé todo el tiempo.
フランス語
Même quand je ne connaissais pas l’amour,
Même quand il s’agissait de ressentir de l’amour,
Je l’ai dessiné tout le temps.
このようにして人間は、同じイメージを違う言葉に移動させています。