同行している非購入者の店内滞在時間を延ばし、購入者の「購入プロセスの質」を上げる
購入者の滞在時間を伸ばすためには、同行している非購入者の滞在時間を伸ばす必要があります。
なぜ「非購入者の店内滞在時間を延ばすこと」が大切なのでしょうか?
それは以下の関係性があるからです。
- 購入者は「同行する非購入者が差し出す時間の限界」に敏感
- 非購入は、自分がこの店舗で購入すべきモノがないと自覚したとたん、「無意識的判断」に身を預ける
- 「無意識的判断」は、ある程度「類型化可能な反射行為」である
ということは、販売員が「非購入者」の「無意識的判断」に良い影響を提示することができれば、間接的に「購入者」の「購入プロセスの質」を上げる可能性を獲得することができるのです。
対非購入者/低関心者の心理的条件
非購入者/低関心者は
- ここにいてはいけない
- 用がない人はこの場所から出なくては行けないのではないか
と感じている可能性が高いです。
よって、販売者は非購入者/低関心者へ「会話」を提供します。
- 購入意図はなくてもいい
- ここにいてもいいんだ
という安心感を提供するために。
- 非購入者/低関心者の居心地の悪さを解消する
- 潜在購入者の心理を安定に導く→空間滞在に居心地のよさを感じていただく
購入者の購入心理プロセス
購入者の購入心理は以下のように変化していきます。
- 無関心
- 関心
- 試着
- 購入の可能性考慮
- 熟慮
- 購入
そして最も大切で難しいところは
- 購入者
- →できるだけ早く、できるだけ負荷をかけないで、3の試着までもっていくこと
- 非購入者
- →購入されない方々(入店者の8割以上)を「購入行為がいらない関心」までもっていくこと
です。
非購入者に何を提供するのか?
それは「この店舗独自のストーリー」「専門的で興味深い知識」「無料試着という体験」です。
- この店舗独自のストーリー
- ○○の成り立ちと特徴
- 専門的で興味深い知識
- ○○の作製工程
- ○○の色と光の関係
- 無料試着という体験
- サンプルを触って、試着して、体験する
- 知っていただく、体験していただく、知る楽しさ、の提供
- 購入しなくてもいいし、見て、触って、体験していい。という感覚
- サンプルを触って、試着して、体験する
途中から接客に入る場合のアプローチ。「2人目の販売員」は急激に接客難度が上がる
最初に別の販売員がアプローチした後、何らかの理由で「2人目の販売員」が接客を引き継いだ場合、急激に接客難度が上がります。
なぜなら、お客様からすると、知らない店で知らない販売員が2人も話しかけてきている状況は、どう見ても「望ましい状態」ではなく「心理的ストレスが急上昇した状態」だからです。
失敗確率が高いのも特徴です。
ですので
- 1人目の販売員が適切にアプローチし、
- きちんと購入動線を導くこと
が何より重要になってきます。
適切なアプローチリスト
- 前回は、いつ来てくださいました?
- もうご存知だとはおもうんですが…
- 〇〇は何個くらいお持ちですか?
- これすごく面白いデザインで/かわいいデザインで…
- ずっと気になってたんですけど、お客様のバッグ(服装/小物のいずれか)とってもかわいいですね。
リピーターの来店者へのお声がけ。これまでの店舗体験をイメージ
リピーターの来店者には以下を意識してお声がけします。
- 「感謝」を第一に伝えること
- 極力邪魔をしないこと
- これまでのお客様の購買履歴をイメージし、それを第一声に反映させること
その方がこれまで店舗で体験されたであろうことをイメージしながら、コミュニケーションを重ねていきます。簡単ではありませんが、うまく伝わると、その方は、より深くお店を支持してくださいます。
リピーターの来店者へのお声がけリスト
- また来てくださってありがとうございます
- こんな坂道まで登ってきてくださって、ありがとうございます
- わざわざ観光地まで来てくださって、ありがとうございます
- 〇〇は、おいくつ/何本くらいお持ちですか?
- 今、お持ちの〇〇のデザインはまだここにありますか?
- 前回はいつごろ来てくださいましたか?
- ありがとうございます。ずっと憶えていてくださったんですね!
- ありがとうございます!着けて来てくださったんですね!とってもうれしいです!
- うちのアクセサリーを身に着けて来店してくださることが、本当にうれしいです。ありがとうございます!
レジでの会話。最も「販売員として生きる一個人の哲学」が出るところ
購入が決定したお客様と会話をする目的は明確な思い出として完成させることです。
レジでの会話の目的
- お客様の「店舗での購買行動」を共通認識として共有
- 会話で言語化し、事実として社会化
- 明確な思い出として完成させる
- 購入前後の1日の予定聞くことで、店舗体験を「外部世界との連続性」の中に記憶化する
- 人間個人としての関心を伝え、「経済活動」以外の繋がりも意識していることを暗示する
- 購入体験の出口を段階的に準備する
もちろん販売プロセスで必須の
- アフターフォローの説明
- オンライン購入が便利であること
- ショップカードの無料梱包
といった「不安への対応」と「安心の提供」を行った上で。
個人的には、このプロセスに最も「販売員として生きる一個人の哲学」が出る(あるいは出す余地がある)と考えています。なぜなら「人間としての関心」は不要な場合の方が多いからです。
レジでの会話リスト
- とってもお似合いですね!ありがとうございます!
- これからどちらに行かれるんですか?
- 今日はどちらにいかれたんですか?
- 京都は久しぶりですか?
- 聞き手に回り、よい質問を投げかける