中小企業の現場で働く一人 Web担当者向けに、記事作成プロジェクトの全体像と具体的な方法をまとめました。
事業部Web担当者の制作環境の制限と管理運用の悩み
Web担当者のWebサイトに記事作成に関する悩みを分析すると、
・管理運用の悩み(struggle of management)
・制作環境の制限(condition of working environment)
があることが分かってきました。
制作環境の制限
①メインのWeb担当者は1名。兼任者を含めても2名
②メインのWeb担当者は、Webを兼務している
③Web実務担当と決裁者は分かれている(同一人物である場合はリソースが少ない)
管理運用の悩み
①誰が書く?:誰に書いてもらったらいいか分からない
②どのように書く?:具体的な方法が分からない
③評価方法は?:具体的な評価基準が分からない
④効果は?:どのような効果があるのかイメージできない
⑤費用対効果は?:どれくらいの期間で成果が出るか知りたい
という現場の状況です。
この状況は、言い換えると「記事作成で継続的成果を出している企業は少ない」ということも意味します。もし達成で出きれば、独自性を得ることができます。
記事の質は、ユーザーの悩みに対する適切な理解・構造化・言語化・分量・分かりやすさ
記事の質とは、以下の条件を揃えたコンテンツです。
・ユーザーの悩みを適切に理解し、構造化し、言語化している
・適切な分量の記事である
・分かりやすい記事なので、行動に移しやすい
2018年googleが言った指標EATは、今でも参考になります。
・専門性:expertize
・権威性:authortativeness
・信頼性:trustworthiness
適切な分量をどのように考えるか?
これは、Google検索にて、キーワードで上位30記事を分析すれば、ある程度分かります。
よって、記事を作成する前に以下を各組織で行います。
・目的の定義:事業全体・他部署施策・マーケティング各施策との整合性と連携
・質の定義:ユーザーの悩みの構造化と言語化
・量の定義:競合記事の分析
・業務フローを作る:継続性を担保する体制を作る
・管理機能と作業機能を分類する
記事の質→記事の量→記事量産の継続性
という順番です。
もし「3ヶ月で結果を出したい」のであれば「質が担保された記事」を短期間に沢山つくることになるのです。ですが、4ヶ月目以降に記事が投稿されなければ、少しずつ記事は読まれなくなり、たとえSEOで上位で合ったとしても、検索上位から下がっていきます。
記事の定量的評価基準は?
まず「記事の継続投稿で得たい結果」を数値化します。
つぎに、それを目標の数値を「複数の数値」に分解します。
記事経由の目標売上(月)の計算式
・平均受注金額×成約数×成約率=記事経由の目標売上(月)
要素
・平均受注金額
・成約数:マーケティング施策全体の数と記事プロジェクト単体の数
・成約率:お問い合わせから受注に転換する確率(コンバージョン率)
・お問い合わせ数
・資料請求数
・ページビュー数
となります。
この目標を6ヶ月で達成しようとするのか、あるいは1年2年で達成しようとするのか、それを決定します。
記事作成の効果は直接的効果と間接的効果に分類する
基本的には、直接的効果と間接的効果に分類し、その他マーケティング施策・別部門施策・事業全体との整合性を把握しながら、適切な定性目標に落とし込みます。
直接的効果
マーケティング
・リード数
間接的効果
ブランディング
・対顧客:独自性(結果的に差別化につながるオリジナルなコンテンツ)
・対社内:組織的経験の蓄積
成果がわかる期間は、「質×量×継続性」の各要素を定量化し、最短で8本/月×6ヶ月=48本
この質問に応えるには「質×量×継続性」の各要素を定量化します。
最短で6ヶ月。一般的には1年~2年。
という言い方がコンテンツSEOではよく言われます。
それは、半年後に「質が担保された記事が24本」あれば成果の兆しが現れ始める(週1回投稿を6ヶ月間)というボーダーラインがもとになっています。
たとえば
2本/週×4週=8本/月
8本/月×6ヶ月=48本
という数字を達成することができれば、効果をもう少しはやく見ることができるかもしれません。
※この計算は「質が担保された記事」という大前提によって支えられています。
※決して簡単ではありません。
業界・自社事業・顧客・商材を理解する人が記事を書く
手間のかかるイメージの記事作成。誰に書いてもらうのがよいのでしょう?
結論から言うと、以下の7つの要素をより多く備えている人物が記事を書くと、お客様が求める課題解決を提示する可能性が高まります。
記事作成に向いている人物の条件
・一定以上の業界理解がある(業界分析)
・作業を兼任できるほど事業に精通し、部内で信頼されている(事業分析)
・顧客心理をよく理解している(顧客分析)
・自社商材を熟知している(商材分析)
記事作成に向いている人物の条件
・物事を順序立てて分かりやすく説明することが好き
・文章による自己表現への適度な慣れ
・自社商材への熱意
記事作成の順序は、まず質を確保してから量を作ることだからです。顧客の悩みに対する適切な答えを返すことができる知識、経験的には「業界」「自社事業」「顧客」「商材」の理解がある人物が適任です。また内面的には「論理的思考」「文章表現」、そして「商材への熱意」がある人物です。
※個人的には「熱意」があれば、そのほかの要素は後から身についてくると考えています。
すると「Web担当者が記事を書くこと」が、最も効率がよい可能性があります。なぜなら、Web担当者は上記の複数の条件を満たしている可能性が高いからです。
でも、Web担当者の方々は、総じて社内業務を掛け持ちしており、緊急度と重要度が高い業務を担っておられます。
では、どのようにしたら「限られた時間で質の高い記事を書くこと」ができるでしょうか?
以下、How(テーマ・構成・書き方)を説明します。
記事のテーマは、お客さまの悩みから見つける
最近「お客様から相談されたこと」「質問されたこと」から記事のテーマを作ります。
・お客様の悩み=記事の題材+記事のタイトル
・あなたの回答=記事の見出し+記事の内容
この視点から見ると「営業担当者」や「顧客対応」をされている方々は、「日々、現場で根拠をもとにした即興性の高い記事を作っている」と言い換えることもできます。
※お客さまの悩みは、価値の源泉という視点です。
記事の構成は「顧客の悩み」「結論」「結論の根拠」「根拠の詳細」
結論から言うと、4つの要素を押さえて、芯のある記事を書き進めます。
記事の構成
①顧客の悩み
②結論
③結論の根拠
④根拠の詳細
自分のセールストークをレコーディングし、振り返ると、お客さまの質問に対して「無意識のうちに上記の要素を使って話している」ことに気がつきます。
具体的な記事の書き方は、「悩み+回答」の整理と階層化
具体的には、下記の手順で「情報を整理」していきます。
要素を集める
1.よくある「お客様の悩み」をリストアップ
2.そのなかから一つの「お客様の悩み」を選ぶ
3.「2」に対する回答を複数リストアップ
4.それぞれの回答に対する「①結論 ②理由 ③具体的事例」を1文づつ書く
要素を整える
5.「4」の結論を要約し「見出し」を作る
6.見出しを並べ、順序を整理。目次を作る
7.リード文(記事の導入部。「悩み→結論」で構成)を書く
8.「4」のそれぞれの文章を膨らませる
9.まとめの文章を書く
目的を設置する
10.コンバージョン(お問い合わせ、資料請求、会員登録、購入)を決める
11.記事タイトルと見出しに「キーワード」を入れる
この順序で書くと、以下のような構成ができあがります。
タイトル(キーワードを使う)
リード文(悩みと結論の要約)
コンバージョンボタン
目次
見出し①
結論①
理由①
具体的事例①
見出し②
結論②
理由②
具体的事例②
見出し③
結論③
理由③
具体的事例③
まとめ
コンバージョンボタン
お客さまの悩みを一つピックアップし、それに対応する回答を整理、要約、階層化する、というのが記事の構成です。
ひとつひとつの記事にコンバージョンを設置して「直接的な目標」の導線を確保/補強し、直接的成果(お問い合わせ数)を狙います。
事業部のWeb担当者が持っていて、Web制作会社が持っていないもの
それは
1.課題、解決策、サービスの解像度
2.知見と情熱:熱量、探求心、好奇心、アイデア、愛情、想像力、知識、失敗/成功経験
3.カスタマーサクセス的な定性的情報
カスタマーサクセス的な定性的情報について
・日常のお客様とのコミュニケーションから得られるもの
・お客様からの具体的な質問
・具体的な質問への具体的な回答
・現場でいただいたお客様の声
・具体的な成功事例
・不信感の払拭方法
・信頼感の獲得プロセス
どのように記事を作成するかが分かれば、不安も緩和されます。
そうすれば、日々の隙間時間を見つけて、文章を積み上げていくことができます。