「どうして苦いものを飲んでいるんだろう?」
10代のころ、コーヒーは嫌いな飲み物でした。
あるとき、喫茶店で働いていると、ぼくはコーヒー豆の焙煎をまかされることになりました。
コーヒー豆の焙煎は、店を閉め、仕込みと掃除を終えてからでないとできない作業。さらに、焙煎は1時間30分から2時間はかかりました。
深夜1時を過ぎて焙煎をすることも普通。ひとりでしたが、孤独ではありませんでした。むしろ、世界中でコーヒーを焙煎している人々と一緒にいるような感覚がありました。
世界中の一杯のコーヒー。
その周囲には、コーヒーに魅せられた人たちがたくさんいて、今日も淡々と焙煎をしています。
彼らに敬意を表して、また、その一員として。