大切な人たちを大切にすることを意識して行う。
小さくて確かなところから。
それが、今回の文章のテーマです。
JR京都伊勢丹のサロン・デュ・ショコラで、家族3人のためにチョコレートを買ったときの話。
そして、そのプロセスの記録です。
大切な人の未来を想像すること。
未来を実現すること。
そのプロセスを身体で感じることを大切に。
女性の確信。ここには新しいものがある
「アールグレイが入っているチョコレートでございます」
「こちらは薫り高いアルコールが入ったチョコです」
2019年2月1日17:00。
京都伊勢丹10階の催事場は、女性でいっぱいになっていました。
6個で4000円のチョコや、文庫本のパッケージにチョコが入った7000円のチョコ。
マカロン、ワッフル、アイスクリーム。
フランス料理店のチョコ、抹茶を生かしたチョコ、カカオ100%のチョコ、
フランスから逆輸入の日本人パティシエのチョコ、神戸北野の有名なチョコ、
ベルギー産のかわいいチョコ、フランス産のチョコ。
パティシエの実演チョコ調理。
「どうぞご試食ください」
お皿の上のチョコは、瞬く間に減っていきます。
女性の熱気。
新しいものがあるという確信。
全世代の女性、あらゆる関係性の女性が、伊勢丹の10階に集結しています。
熱い視線が集まるガラスケース。
美しくパッケージングされたチョコ。
芸術的すぎるし、洗練されすぎている
そこにいる男性客は全体の5%程度でした。
世代は、20代、30代、60代。
ひとりで買い物をしている男性が50%、カップルで来ている男性が50%。
女性の熱気は「プレゼントを送る相手へ」というよりも、チョコそのものへと向かっているようです。
「好きな人や彼氏に渡す」にしてはこれらのチョコは非常に特化している。
それらのチョコは、芸術的すぎるし、洗練されすぎているようにみえました。
誰のためにチョコを探しているのでしょう?
では、ぼくは誰のためにチョコを探しているのでしょう?
それは、大切な人のため。
→妻、娘、息子
ぼくは、熱狂する女性の間をくぐり抜けながら、6才の娘が喜ぶ顔が想像できるチョコを探しました。
彼女がそれを目にしたときに、瞳に光りが灯り、口元がゆるみ、
「おいしそう」という声が漏れる。
目にした瞬間、期待値がもっとも高いところまで上がる。
それは、鮮やかな色合い。かわいい形。
フランスで作られたマカロン。
洗練された中に、かわいいさが表現されているイメージ。
その状況を思い浮かべます。
奥さんの喜ぶ顔が想像できるチョコを探しまわります。
パッケージはシンプルで洗練されている。
チョコの色味は地味でも問題ない。
国内でも外国産でもどちらでもよい。
それよりは、彼女自身のイメージに一致するブランドイメージ。
それはつまり、
シンプルで、洗練されていて、本物で、ポップであること。
彼女がそれを目にしたときに、瞳に光りが灯り、口元がゆるみ、
「おいしそう」という声が漏れる。
期待値がもっとも高いところまで上がる。
2才の息子。
おいしさ、美しさ、かわいさ、よりも、「たのしさ」「おもしろさ」
やはり、サロン・デュ・ショコラにイメージするものはありませんでした。
車の形のチョコはあったけど、ちょっと良すぎました。
→そのあと、京都駅地下のPORTAで探し、購入
→機関車トーマスのおもちゃチョコ(レバーを回すと中からマーブルチョコレートが出てくる)。
どのようにしてチョコを選ぶ?
ぼくは、どのようにしてチョコを選ぶのでしょう?
具体的な作業としては、
①ぼくにとって大切な人々を選ぶ
②それぞれの喜ぶ顔を想像する
③その想像した状況にあるチョコを映像化しようと集中する
③-1.具体的には「これじゃない」「この感じでもない」の連続
③-2.突然、「これ!」という実物が表れる
③-3.あるいは、「大切な人」と「チョコ」のイメージの歩み寄りが進む
④喜ぶ顔とチョコの両方がきちんとイメージされる
⑤チョコを購入する
どうやって探すか?
①1店舗ずつ見て歩く
①-1.店舗の色、デザイン、店員さんの服、店員さんの動きとセリフ
①-2.ショーケースのレイアウト、色使い、説明方法、パンフレット
①-3.パッケージ
①-4.チョコレートそのもの(数、味、形、色)
①-5.価格
②店員さんに聞いてみる
③頭の中でシミュレーション
③-1.一人ひとりがそれを持ったときに喜ぶ状況がイメージできるか
③-2.それぞれがもらって見比べたとき「うらやましさ」が出ないか
そう言い終わる前に、想像に沿う形で
大切な人たちを大切にすることを、意識して行う。
小さくて確かなところから。
それが、今回のテーマです。
ぼくは帰宅し、チョコを部屋に隠します。
そして、翌朝、折を見てそっと手渡し。
「いつもありがとう」
そう言い終わる前に、チョコが入った袋を見た3人。
彼らは、ぼくの声を聞く耳を失い、ぼくは視界から消え、チョコレートに目を奪われます。
そして、
2019年に生まれた世界のチョコレートが、彼らの五感を満たすのでした。
想像に沿う形で、
想像以上に。