
20才のときにハンナ・アーレント「人間の条件」を読んで以来、それはずっと本棚のすぐとれるところにあります。何度も読み、罫線を引き、ノートに模写しました。
ぼくにとって重要なところだけを要約したもの。
ことあるごとに、これを見て考えのおおもとを整理してきました。
1. 3つのアクション
①労働
②仕事
③活動
①労働:反復
生命維持・累積しない・アイロンがけ・皿洗い・掃除
= 肉体の生物学的過程に対応
②仕事:世界に耐久性を付与
人間社会を空間的に存続させる・建築物・紙・望遠鏡・文字農耕・医学・天文学・衣服
= ある程度の耐久性を持つ消費の対象を作る行動。「人間存在の非自然性に対応する活動力」。
③活動:不特定性と多数性
唯一、私が何者なのか?の返答を与えることがでる。
唯一、過ちを赦すことが可能。
= 「ものや物質の介入なしに直接人と人との間で行われる唯一の活動力」。
2. 活動の3つの不確実性
①無制限性
他者への言葉はその影響範囲が限定できない
②不可逆性
その結果を前の状態に戻すことができない
③不可予言性
その言葉の結果を予測できない
政治には、これら三つの不確実性が認められる。
政治のこの不確実性(言語)そのものが、人間の意図から逸脱して展開しうる政治の性質を示す。
しかし、この不確実性を持つ政治を解決するのも政治である。
3. 3つの不確実性に対する2つの解決手段
①約束(promise)
不確実性の一つの要素である予測の不能性を解決する活動として約束(promise)という行為がある。
約束は不確実な未来に対してその確実性をもたらすための足場。
②許し(forgiveness)
また不可逆性を解決する活動として許し(forgiveness)がある。
もしも暴力の応酬や復讐の連鎖のような事態になった場合に、これを収束できるのは許しという活動だけである。
アーレントはこの約束と許しという活動を政治の問題を解決する優れた行為として意義付けている。